なまはげ

提言・意見・寄稿

秋田の農業はどうあるべきなのか~TPPを契機に将来を考える~

1.まず3つの視点から農業を考えたい。

TPP(環太平洋経済連携協定、Trans-Pacific PartnershipあるいはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership)の承認案と関連法案は2016年12月9日参院本会議で賛成多数で可決・成立した。

一方、米国のトランプ新大統領が就任初日にTPPを永久離脱する大統領令を発したことで局面が変わってきた。TPPは12ケ国の中でも米国が批准しなければ成立しない。安倍首相も米国に時間がかかっても翻意をうながすようだが見通しがあるわけではない。

筆者は、かねてからTPPの内容(すべて公開されているわけではないが)を検討することによって日本の農業、ひいては秋田の農業の将来の課題が見えて来るのではないか、と考えている。

これまでの日本の農業はさまざまな施策が講じられてきたが、残念ながら結果において成功したとは言い難い。産業としての農業という視点が欠けていたのかもしれない。

秋田の農業はどうあるべきなのか 、という議論上の第1の視点は、このTPPが突き付けた課題をどうとらえるか、ということであろうかと思う。

第2の視点は、食料の確保という安全保障の観点からの議論を真剣にしなければならないのではないか、ということである。 日本の人口は減少傾向にあるが、世界の人口は確実に増加している。先進諸国の中で、我が国ほど食料自給率が低い国は存在しない。さまざまな将来状況が変化すると考えられる中で、この食料の安全保障という視点が必要である。

第3の視点は、この美しい日本の自然に対する農業の貢献の視点である。筆者はこれまで30ケ国以上を訪問しているが、その体験からも、この美しい日本の自然はかけがえのない国の資源だと考えている。

今後、随時、これらの視点から検討を加えて行きたい。その前に、これまで公開されている論文などのいくつかを選び要約しておく。

※TPPとは、そもそも「特定の国や地域との貿易で関税をゼロにする自由貿易協定(FTA)の一 種」である。モノだけでなく、サービスや投資のやりとりも自由にする。原則すべての関税を撤廃するなど自由化のレベルが高いのが特徴。2国間でなく多国間での自由貿易圏の取り決め。巷間「日本の農業はTPPにより崩壊する」と言われるがはたしてどうか。大きな検討課題である。

※2015年(平成27年)11月政府TPP総合対策本部は「総合的なTPP関連政策大綱」を公表している。また、2016年(平成28年)3月秋田県は「秋田県TPP農業関連対策大綱」を公表している。これに先立つこと約10年前、日本銀行秋田支店は2005年6月「秋田県における農業のさらなる発展に向けて」を発表している。

2.政府のTPP交渉の経過

2010年10月の菅直人内閣総理大臣がTPPへの参加検討表明から、2017年1月の米国トランプ大統領就任直後のTPP表明離脱までの経過を参考までに以下に要約しておく。

年月日 交渉経過
2010年10月1日 菅直人内閣総理大臣は、衆議院本会議所信表明演説でTPPへの参加検討を表明し、10月8日TPP交渉への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築を視野に入れ、APEC首脳会談までに、経済連携の基本方針を決定する旨指示した。
2010年11月9日 政府は関係国との間での経済連携強化に向け、農業分野、人の移動分野および規制制度改革分野において、適切な国内改革を先行的に推進する旨閣議決定を行った。農業分野は関係大臣からなる「農業構造改革推進本部」を設置し、2011年6月をめどに基本方針を決定することとした。
2010年11月13日 菅首相は、2010年日本APECにおいて、交渉参加に向けて関係国との協議に着手することとした。
2011年2月26日 政府は公開討論会「開国フォーラム」をさいたま市で開催し、玄葉光一郎国家戦略担当大臣がアジアの活力を取り込む必要性を訴えた。一般参加者からは農業分野以外の情報を求める声が上がったが、平野達男内閣副大臣は情報を集めている段階だとして十分な説明ができなかった。3月5日に金沢市で開催された開国フォーラムで海江田万里経済産業大臣は、TPPは例外なき関税の撤廃が原則としつつ。交渉次第で1~5%の例外品目が設けられる可能性を示唆した。
2011年3月11日 東日本大震災が発生。
2011年5月17日 政府は東日本大震災後の経済政策方針をまとめた「政策推進指針」を閣議決定し、TPP交渉参加の判断時期を当初の6月から先送りした。
2011年10月11日 経団連の米倉弘昌会長はTPP交渉への早期参加を求めた。
2011年10月24日 全国農業共同組合中央会(JA全中)は、1,100万を越すTPP反対署名を政府に提出した。地方自治体においては、2010年10月から2011年9月末までの1年間に、42道県議会でTPPに「参加すべきでない」「慎重に検討すべき」「農業の国内対策が必要」などの意見書が採択されている。
2011年11月11日 野田佳彦内閣総理大臣は「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と表明した。
2011年12月13日 政府は省庁横断の一元的な参加交渉体制の概要を求めた。
2012年1月26日 政府は事務局を70人体制とし、地方、業界団体などへの説明、交渉参加国との事前協議状況説明など全国的な広報活動やシンポジウムを行う方針とした。この日までにベトナム、ブルネイ、ペルー、チリと日本政府代表団は事前協議を行い日本の交渉参加の歓迎の意向を得たとしている。残り5ヶ国へも代表団派遣を早期に行うとした。
2012年12月26日 第2次安倍内閣発足。
2013年2月22日 前年12月に行われた衆議院議員選挙で自由民主党は「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します」と選挙公約に明記しており、安倍晋三内閣総理大臣はバラク・オバマ米大統領と会談し、「聖域なき関税撤廃が前提でないと認識に立ちました」と述べた(聖域なき関税撤廃を前提としないTPP交渉には参加する)。
2013年3月15日 安倍首相がTPP交渉に参加を表明し、参加国にその旨通知するとした。
2013年3月22日 甘利担当相を本部長とするTPP政府対策本部を設置し、首席交渉官が率いる対外交渉担当約70人と国内調整統括官が率いる国内対策調整担当約30人を配置するとした。
2013年4月12日 政府は米国とのTPP交渉参加の事前協議の決着をみたと発表した。
2013年4月24日 米国政府は日本の交渉参加を認めると米国議会に通知した。
2013年5月3日 甘利担当相は、ハノイでベトナム首相のグエン・タン・ズンと会談し、TPP交渉で両国が連携、協力していくことで一致した。
2013年7月15日 7月15日から25日まで、マレーシアのコタキナバルで、第18回TPP交渉会合が開催された。期間中の7月23日午後、日本は正式に交渉に参加した。
2013年10月8日 インドネシアのバリ島でTPP首脳会合が開催され、安倍首相、甘利担当相らが出席した。
2015年10月5日 米アトランタにてTPP交渉に参加する12ヶ国の閣僚会合で、5年半に及ぶ交渉が大幅合意に達した。全参加国が2年以内に国内議会等の承認手続きを終えられない場合でも域内の国内総生産(GDP)の合計が85%以上を占める6ヶ国以上が合意すれば正式に効力が発生し、その場合は世界のGDPの4割近くを占める自由貿易圏が産まれることになると試算されている。
2016年2月4日 ニュージーランドにてTPP署名式が行われ、12ヶ国間で署名が行われた。
2016年12月9日 参議院審議を経てTPP参加が決議、国会で批准された。
2017年1月20日 日本時間午前の閣議決定を経て、午後に政府は協定の国内手続きの完了を在ニュージーランド大使を通じ寄託国ニュージーランドに通報した。なお、同日、アメリカ合衆国第45代大統領ドナルド・トランプは就任直後ホワイトハウスのホームページで公式にTPPからの離脱を表明した。

3.TPP話題以前の秋田県農業の課題について

(1)「秋田県における農業のさらなる発展に向けて」

出典:日本銀行秋田支店、「秋田県における農業のさらなる発展に向けて」、日本銀行秋田支店金融経済調査シリーズ No.05-01、2005年6月


要約


わが国の農業は大きな転機を迎えつつある。人口が減少に転ずることで、農産物の国内需要縮小が展望されるとともに、供給側でも高齢化の進展による「担い手」の不足が懸念されている。貿易面では、今後農畜産物の「海外との産地間競争」が強まるのは不可避とみられている。また、国内消費者における「味覚」へのこだわりや「食の安全」への関心の高まりは、農産物・同加工品分野における「差別化」や「高付加価値化」による新たなビジネス拡大のチャンスを提供している。

以上、国内での農業の課題を述べ、次に、秋田県の場合は、今後も農業において優位な地位を保っていけるかどうかについて、必ずしも手放しで楽観はできないように思われるとし、県外に雇用を求めて多くの人口流出が続く秋田県において、製造業の工場進出や公共事業の拡大による雇用創出に大きな期待が持てない中、農業を今後の戦略的な産業とするための課題とスキームを提起している。

まず秋田県農業の現状として、「兼業農家による稲作」が現在の秋田県農業の特徴で、農業以外に収入源を求める農家が増えている可能性を指摘、時間をかけて農地のポテンシャルをフルに引き出せるのであれば、野菜や果樹栽培を行うのが有利であるが、これを行う時間的余裕がない農家の場合は、「稲作」を選択するのが合理的としている。一方、秋田県においては、農業を主業とする第1種兼業農家が急速に減少する一方で、農業以外の職業を主業とする第2種兼業農家の減少は比較的小幅に止まっていることを考えると、農家が最適な副業として稲作を選んでいるという色合いの方が濃いように窺われるとし、個別農家のレベルでは最適な選択が、地域全体あるいは中長期的な観点で改めて眺めてみると、必ずしも最適な結果をもたらさないということは起こり得るしとしている。

しかしこの傾向に以下の理由で疑問を投げている。

第1に、農業の中長期的な継続性に疑問が持たれる点である。「農業以外を主業とする兼業農家」というビジネスモデルを次の世代に継承していくことは、地域全体としてみると困難となっている。秋田県内における耕作放棄地の増加は、こうした問題の存在を数字的に裏付けていると言う。

第2に、今後日本の人口減少や農産物貿易の自由化が進む下で、一段と激化が予想される産地間の競争に打ち勝っていくために必要な経営効率の向上や農産品の高付加価値化で遅れをとる危険性が挙げられる。

そして、秋田県農業のさらなる発展に向けて、現在の秋田県農業の特徴である「兼業農家による稲作」という状況は、中長期的に維持が難しいばかりでなく、今後必要とされる秋田県農業の競争力強化という面でもマイナスが大きいように思われる。従って、「兼業農家による稲作」という状況をなるべく早期に解消し、経営規模の拡大や高付加価値化を推進しやすい環境へ誘導していくことが、当面の大きな課題としている。

その実現のポイントとして、インセンティブ(誘因)を十分に用意する必要があるとし、将来の新しいビジネスモデルを提起している。まず、「担い手」問題は、農業の大規模化や高付加価値化が進み、ビジネスとしての魅力が高まれば自然と解消していく筋合いにあること、「農地の集約」と「農産物の高付加価値化」と並行して「良質な労働力の確保」が同時に進むような仕掛けが必要としている。

そして本論文では、(1)大規模農家への土地の集約、(2)農産物の高付加価値化、(3)良質な労働力の確保、についてのスキームが詳細に述べられている。

本論文では、まとめに当たって、「農業については、上記のような経済的動機だけではなく、自然環境の保持・育成に果たす役割の重要性も指摘されている」

として、その重要さを説く論理の必要性を示唆している。

(2)「秋田県における農外企業の農業参入の現状と課題」

出典:秋田経済研究所、「本県における農外企業の農業参入の現状と課題」、機関紙あきた経済、2011年4月


要約


秋田県の現状として、農業経営体数は10年前と比べ、3割減だが、法人化している経営体は6割増(253→412)となっており、これは、本県が進めている集落営農の組織化が進んでいることが一因とみられる。販売農家(経営耕地面積が30a以上または農産物販売金額が50万円以上)数は加速度的に減少しており、この5年間では13,000戸以上減っている。特に、主業農家と準主業農家は20年間で半減している。 本県の耕作放棄地は耕作放棄地の増加は全国的な傾向であるが、この5年間で全国が2.7%増であるのに対し、本県では9.2%増と増加幅が大きい。また、農業就業人口の推移として、秋田県の農業就業人口はこの5年で約2万人(21.2%)、平成2年からの20年では4割の減少となっており、全ての年齢階層で減少している。

一方、全国的にも、こうした担い手の減少、高齢化の進展、耕作放棄地の増加等は必ずしも秋田県のみではなく、全国共通の問題でもあり、経産省がまとめた農業産業化支援策でも、農業の課題を就業者の高齢化、後継者難、低収益などとしている。こうしたなか、全国的には、新たな農業の担い手として、企業が大規模な形で農業へ参入する動きが出てきており、外食、食品、流通、建設などの大手企業の参入が報道されているほか、製造業による植物工場への参入も盛んである。

企業が農業に参入するうえでの課題として、秋田県の場合、建設業に偏っているが、十分な収益を確保できずに、本業からの持ち出しが多くなり、撤退する例もみられる。また、他業種から農業に参入する場合、『販路の確保』も課題となる。 さらに、法規制の問題もある。農地法の改正で企業の参入に対する垣根が低くなったとはいうものの、企業が直接農地を購入することは禁じられており、『農地の確保』も大きな課題となっている。

秋田県の取り組みとしては、経営力の高い農業法人の育成などによって、周辺農家の意識向上や、生産の共同化など波及的な効果を期待している。

まとめとして、本報告は、次のように結んでいる。

秋田県農業の現状は農業経営体の減少とともに、農業就業者の減少も加速しており、高齢化の進展も著しい。耕作放棄地も増え続けており、増加に転じたとはいっても新規就農者の数も絶対的に不足している。  こうした現状を変革するためには、耕作放棄地を含めた農地を集約して、大規模化するとともに、法人経営に移行した生産性の高い効率的な農業経営に転換する必要があると考える。  経営センスに優れた企業による農業への参入が求められるゆえんでもある。従来の農家にとっては不得手な分野となっている消費者ニーズの把握や農業経営へコスト意識を持ち込むことなどは、企業経営にとっては当然のことであり、得意分野でもある。それを活かした、従来からの慣習にとらわれない大規模、効率的な農業経営が期待される。  秋田県でも建設業者を中心に、外食、流通関連企業などで農業へ参入する動きはあるものの、いまだ、小規模であり、必ずしも、本業を補完できるほどの成果を上げているとはいえない。  ハードルが下がったとはいえ、農業を巡る規制はまだまだ多いのが現実である。そうしたハードルを乗り越えるためのノウハウや、生産作物の選定、栽培技術、販路開拓等は是非、県をはじめとする行政の力も借りながら、進めていくべきである。

4.政府の総合的なTPP関連政策大綱

出典:政府TPP総合対策本部、「総合的なTPP関連政策大綱」、平成27年11月

本大綱はTPPが実現したことを前提に定められたものである。当総研の狙いは、TPPを契機に将来の農業のあり方を検討するものであるから、この国の政策大綱がら、将来の農業政策に関連する主な内容を抜粋整理する。
キーワードとして、イノベーション、連携、地域、規制緩和、が挙げられる。


要約


「強い経済」の実現
多様な分野における生産技術向上、イノベーション、産業間・企業間連携を促進すること等を通じて、我が国経済全体としての生産性向上につながることが期待される。

方法として、
①イノベーション、企業間・産業間連携による生産性向上促進

  • 我が国産業構造革新の基盤技術であるIoT、人工知能、ロボット等の分野や、共通基盤となる先進的な分野における革新的な技術開発等を推進するとともに、必要となる規制改革に取り組む。
  • イノベーション・ナショナルシステムの構築を図るとともに、知的財産制度をTPPが求める制度に調和させ、イノベーション創出環境の整備を目指す。
  • 将来のイノベーションの源泉となる人材育成等のため、知財教育を推進する。
  • 第4次産業革命や産業の高度化に向けて、我が国企業の設備、技術、人材に対する積極果敢な投資を促進するための取組を進める。
  • サービス産業の生産性向上や、中小企業・小規模事業者を含めた事業者等のIoTの活用等によるフロンティア創出を行うとともに、省エネ投資の促進や、新たな製品・サービスの開発や販路開拓、インバウンド取込等の事業基盤の強化等を行い、幅広い産業分野における生産性向上を図る。
  • 農林水産分野における新技術・新品種の開発を進める

②地域リソースの結集・ブランド化

  • 6次産業化の推進等により、地域の産品、技術、企業等を連携、地理的表示(GI)等も活用しつつ、新事業を創出し、海外展開の拡大を促す。
  • ローカルアベノミクスの推進等を通じ、地域の「稼ぐ力」や生産性の向上、地域の人材活用、地方への対内直接投資促進等を実現し、地域経済のグローバルな好循環を拡大する。
    このため、地方公共団体が行う自主的・主体的な先駆性のある取組等を、情報面・人材面を含めて、支援する。
    夢と希望の持てる「農政新時代」を創造し、努力が報われる農林水産業を実現するために、未来の農林水産業・食料政策のイメージを明確にするとともに、生産者の努力では対応できない分野の環境を整える。それにより、農林水産業の持つ様々な価値や魅力、日本の食の潜在力や安定供給の重要性などに対する理解や信頼を高め、「農政新時代」を日本の輝ける時代にしていく。
    具体的には、
    攻めの農林水産業への転換(体質強化対策)
    関税削減による長期的な影響が懸念される中で、農林漁業者の将来への不安を払拭し、経営マインドを持った農林漁業者の経営発展に向けた投資意欲を後押しする以下の対策を集中的に講ずる。
  • 次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成
    農業者の減少・高齢化が進む中、今後の農業界を牽引する優れた経営感覚を備えた担い手を育成・支援することにより人材力強化を進め、力強く持続可能な農業構造を実現する。
  • 国際競争力のある産地イノベーションの促進
    水田・畑作・野菜・果樹の産地・担い手が創意工夫を活かして地域の強みを活かしたイノベーションを起こすのを支援することにより、農業の国際競争力の強化を図る。
  • 消費者との連携強化
    消費者の国産農林水産物・食品に対する認知度をより一層高めることにより、安全・安心な国産農林水産物・食品に対する消費者の選択に資する。
  • 規制改革・税制改正
    攻めの農林水産業への転換を促進する規制や税制の在り方を検証し、実行する。
    施策として、
    攻めの農林水産業への転換(体質強化対策)
  • 次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成
    (意欲ある農業者の経営発展を促進する機械・施設の導入、無利子化等の金融支援措置の充実、農地中間管理事業の重点実施区域等における農地の更なる大区画化・汎用化、中山間地域等における担い手の収益力向上)
  • 国際競争力のある産地イノベーションの促進
    (産地パワーアップ事業の創設による地域の営農戦略に基づく農業者等が行う高性能な機械・施設の導入や改植などによる高収益作物・栽培体系への転換、水田の畑地化、畑地・樹園地の高機能化、新たな国産ブランド品種や生産性向上など戦略的な革新的技術の開発、農林漁業成長産業化支援機構の更なる活用、製粉工場・製糖工場等の再編整備)
  • 高品質な我が国農林水産物の輸出等需要フロンティアの開拓
    (米・牛肉・青果物・茶・林産物・水産物などの重点品目毎の輸出促進対策、戦略的な動植物検疫協議、日本発の食品安全管理規格等の策定、産地と外食・中食等が連携した新商品開発、訪日外国人旅行者への地域農林水産物の販売促進)
  • 消費者との連携強化
    (大規模集客施設での販促活動、商工会議所・商工会等と連携した新商品開発、諸外国との地理的表示の相互認証の推進、病害虫等の侵入防止など動植物検疫体制の強化)
  • 検討の継続項目
    (農政新時代に必要な人材力を強化するシステムの整備、生産者の所得向上につながる生産資材(飼料、機械、肥料など)価格形成の仕組みの見直し、生産者が有利な条件で安定取引を行うことができる流通・加工の業界構造の確立、真に必要な基盤整備を円滑に行うための土地改良制度の在り方の見直し、戦略的輸出体制の整備、原料原産地表示、チェックオフ制度の導入、従前から行っている収入保険制度の導入に向けた検討の継続、農家が安心して飼料用米に取り組めるよう、食料・農業・農村基本計画に明記された生産努力目標の確実な達成に向け、生産性を向上させながら、飼料用米を推進するための取組方策、配合飼料価格安定制度の安定運営のための施策、肉用牛・酪農の生産基盤の強化策の更なる検討、農村地域における農業者の就業構造改善の仕組み)

5.秋田県のTPP対策大綱

出典:秋田県、秋田県TPP農業関連対策大綱、平成28年3月

本大綱はTPPが実現したことを前提に定められたものである。当総研の狙いは、TPPを契機に将来の農業のあり方を検討するものであるから、この秋田県の政策大綱から、将来の農業政策に関連する主な内容を抜粋整理する。国の大綱から落とし込んだ内容が主であるが、地域特性にあわせてより具体的、詳細になっている。

キーワードとして、構造改革、ブランド、マーケットイン、6次産業化、が挙げられる。


要約(多くが転記である)


基本的な考え方

本県農業が魅力ある成長産業として持続的に発展していくためには、これまで重点的に取り組んできた構造改革の取組を一層加速させることが何よりも重要であり、生産性の向上や市場競争力の強化により、国内外に打って出るトップブランド産地の形成を図るとともに、マーケットインの視点に基づく、農業法人・JA等による販路開拓や実需者とのマッチング活動を強化するほか、異業種と連携した6次産業化の促進等により県産農畜産物等の付加価値向上を図る必要がある。

重点的に取り組む視点

1 将来の秋田を牽引する担い手の確保・育成
今後の本県農林水産業の持続的な発展を牽引する担い手のステップアップに向けた取組を促進し、企業感覚に優れた競争力のある経営体を育成する。また、農林漁家の子弟だけでなく県外からの移住定住者を対象とした後継者対策等の強化により、次代を担う新規就農者の確保・育成を図る。そのための条件整備として、農業生産基盤の整備や農地の流動化等を積極的に推進する。

2 米依存からの脱却による複合型生産構造の確立
野菜・果樹・花き・肉用牛などの飛躍的な生産拡大により、米依存農業から脱却し、収益性の高い複合型生産構造への転換を加速する。米については、国内外の産地間競争に打ち勝つ秋田米ブランドの再構築に向け、次代の秋田の顔となる極良食味品種の開発を加速するほか、需要に対応したラインナップの充実を推進する。

3 活力のある中山間地域農業の構築
条件が不利な中山間地域においても、農業による一定の所得の確保に向け、園芸作物の本作化に向けた畑地化や、気象立地条件を活用した地域特産物の生産拡大、加工品等新商品開発など、地域の主体的・内発的な取組を推進するほか、農山村地域の持つ多面的機能を持続的に発揮させるため、農業生産活動や農地の維持・保全活動等を促進する。

Ⅰ構造改革の加速化

(1) 担い手対策

『地域農業を牽引する担い手育成と多様なルートからの新規就農者の確保』

農地集積による規模拡大や複合化・多角化により生産基盤の強化を図るほか、ICTの活用による作業の効率化を進めるとともに、法人化やマネジメント能力の向上により、企業感覚に優れ地域農業を牽引する担い手を育成する。また、農家の子弟だけでなく、新規参入者や県外からの移住者も含めた支援制度を充実することで、多様なルートから次代を担う後継者を確保・育成する。

〔方向性〕
  • 地域を牽引する優れた経営感覚を備えた担い手の確保・育成
    • 担い手支援のためのワンストップ体制の構築
    • 地域計画の策定、見直しの推進(人・農地プラン等)
    • 農業法人など企業感覚に優れた多様な担い手の育成
    • 経営の複合化や多角化の推進(農業法人等による多様なビジネス育成等)
    • 経営マネジメント能力向上(次世代農業経営者ビジネス塾の充実、先進地での現場実践研修等)
    • 女性のチャレンジを支援(直売、加工への支援)
  • 次代を担う後継者の育成
    • 県内外から若者を就農、就業させ育成するシステムの構築
      (就農前の技術習得、就農後のフォローアップ)
    • 経営者として自立するまでキレ目なくサポートする指導者・教育者人材育成システムの構築
      (先導的農家、農業法人等)
  • 農地中間管理機構を活用した経営規模の拡大
  • ICTの活用等によるスマートアグリの推進
    • 大規模化、低コスト化に向けたICTを活用した作業効率化
    • 産地情報の発信による産地評価の向上等
    • 各種センサーを活用した肥培管理の自動制御や、トラクター等の自動航行システムの実用化に向けた研究の推進
〔主要事業〕
【国事業】
  • 担い手確保・経営強化支援事業
    農業者の経営発展を促進する農業用機械・施設等の導入を支援
  • 担い手経営発展支援金融対策[基金化]
    農業者の経営発展、産地の収益力向上等を後押しするための実質無利子化、無担保・無保証人化を措置
  • 農業法人経営発展支援投資育成事業
    農業法人に対する出資を通じた経営支援
  • 革新的技術開発・緊急展開事業
    ICTによる高度な生産管理等の最新技術の実用化、ロボットを活用した省力化技術等の戦略的な革新的技術や新たな国産ブランド品種の開発を支援
【県事業】
  • 農業経営発展加速化支援事業
    「攻めの経営発展計画」を策定し、規模拡大、複合化、法人化などにより経営の発展に取り組む認定農業者をハード・ソフトの両面から支援
  • 新規就農総合対策事業
    就農を希望する若者等の多様なニーズに対応した農業研修の実施や、機械・施設等の整備など、総合的な就農支援を実施
  • 移住就農まるごと支援事業
    県外からの移住就農を促進するため、総合的な支援を実施
  • 農業法人経営発展支援事業
    農業法人の複合化・多角化への取組を進め、経営の安定確立を支援
  • 6次産業化総合支援事業
    農山漁村の所得や雇用の増大、地域活力の向上を図るため、農林漁業者等の6次産業化に向けた取組を総合的に支援

『販売拠点を核とする中小規模農家の所得向上』

地域を守る中小規模農家の経営の維持・発展を図るため、JA等による園芸用ハウスのリースや、直売所等を活用した少量多品目販売を可能とする販売戦略を展開する。

〔方向性〕
  • JAによる中小農家も含めた販売ルートの多様化と生産振興
  • 家族農業の多様なビジネスのサポート(多品目少量生産・多元販売等)
  • 直売所等を拠点とした販売・交流活動の強化
〔主要事業〕
【国事業】
  • 国産農林水産物・食品への理解増進事業
    大規模集客施設での販促活動、商工会議所・商工会等と連携した新商品開発を支援
【県事業】
  • JA販売力強化オリジナルプラン支援事業
    「販売力強化オリジナルプラン」を策定し、マーケットインの視点から新規作目導入や販売チャネルの拡大等に取り組む農協に対し助成
  • 農業者等販売力強化チャレンジ事業
    農業者等の販路開拓活動等の支援、営業スキル習得の向上のための専門家派遣
  • 6次産業化総合支援事業【再掲】
  • 来にアタック農業夢プラン応援事業【再掲】

(2) 生産振興対策

『複合型生産構造への転換の加速化と秋田米の競争力強化』

園芸拠点や大規模畜産団地の全県展開、野菜、果樹、花きの県オリジナル品種や秋田牛等の全国ブランド化、異業種と連携した6次産業化の推進等により、収益性の高い複合型生産構造への転換を加速させる。

また、本県の強みである広大な水田を最大限に生かし、大規模・低コスト稲作経営を確立するとともに、これまでの極良食味米の開発に加え、実需者のニーズを踏まえた米品種のラインナップを充実させること等により、秋田米の競争力を強化する。

〔方向性〕
  • 大規模園芸拠点の全県展開
    • 園芸メガ団地やネットワーク団地等の整備など多様な園芸拠点の全県展開
    • 県オリジナル品種を核とした野菜、果樹、花き産地の競争力強化
    • 労働力調整システムの実証・導入
  • 多様な6次産業化の推進
    • 県内外の異業種との連携
    • JAによる大規模な6次産業化の展開
    • 学校給食、病院等への県産食材供給(冷凍、カット野菜等)
  • 水田フル活用と収益力の向上
    • 飼料用米、大豆等の生産拡大
  • 消費者や実需者ニーズに対応した米品種のラインナップの充実
    • 極上米、寿司用米、長粒種、多収米、新形質米など
  • オール秋田での米の品質区分集荷等による商品づくり
  • 大規模・低コスト稲作経営の確立(生産技術及び農業法人連携による稲作体系モデルの確立
〔主要事業〕
【国事業】
  • 産地パワーアップ事業
    地域の営農戦略に基づき、高収益作物・栽培体系への転換を図るため、高性能な機械・施設の導入や改植等を支援
  • 畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業
    生産コストの削減や品質向上などに地域ぐるみで取り組む畜産クラスター計画の実現に必要な施設整備や家畜導入、機械リースを支援
【県事業】
  • 園芸メガ団地育成事業
    園芸経営に取り組む担い手を育成するとともに、野菜や花きの産出額の拡大を図るため、本県の園芸振興をリードする大規模団地の整備を支援
  • ネットワーク型園芸拠点育成事業
    園芸品目のさらなる生産拡大を図るため、複数団地を組み合わせたネットワークタイプなど、新たなタイプの園芸拠点を整備
  • 飼料用米総合対策事業
    • 保管・流通体制の整備や地域内流通の拡大など、飼料用米に取り組みやすい環境づくりを支援
    • 飼料用米調製技術の確立
  • 未来にアタック農業夢プラン応援事業
    戦略作物の産地拡大や経営の複合化に必要な機械・施設等の導入を支援
  • 水田畑地化基盤整備事業【再掲】
  • 6次産業化総合支援事業【再掲】
  • ゴハンといえば秋田米推進事業
    秋田米のグレードアップと市場シェアの拡大を図るため、品質区分に応じた新たな商品づくり等を支援するとともに、企業とタイアップしたPRを実施
  • 攻めの稲作総合支援事業
    国内外の競争に打ち勝つため、大規模・低コスト稲作経営の実現に向けた生産技術の実証等を実施
  • 次代を担う秋田米新品種開発事業
    県産米のブランド力の強化・競争力向上を図るため、次代の秋田米の顔となる「コシヒカリを超える極良食味品種」の開発を推進

(3) 生産基盤対策

『構造改革を支える水田の大区画化・畑地化』

国内外との競争力強化に向けた大区画化や、複合型生産構造への転換を下支えする水田畑地化など、生産性の高いほ場整備を進める。

〔方向性〕
  • 稲作の低コスト化や経営の複合化を可能とする基盤整備の推進(大区画化、地下かんがいシステム、モミガラ補助暗渠等)
〔主要事業〕
【国事業】
  • 農地の更なる大区画化・汎用化の推進
    農地中間管理事業の重点実施区域等において、農地の更なる大区画化と地下かんがい施設等の一体的整備を支援
  • 水田の畑地化、畑地・樹園地の高機能化等の推進
    • 高収益作物への転換を促すため、平場・中山間地域などにおける水田の畑地化
    • 汎用化、畑地・樹園地の高機能化等を支援
【県事業】
  • 農地集積加速化基盤整備事業
    ほ場の区画整理、暗渠排水等の生産基盤の整備とともに担い手への農地集積を実施
  • 水田畑地化基盤整備事業
    園芸作物や畑作物の生産拡大を図るため、地下かんがいシステム、モミガラ補助暗渠などの水田畑地化対策を実施

(4) 輸出を含めた流通販売対策

産地間競争の激化を見据え、県産農林水産物の魅力を情報発信することにより、県民と連携した消費拡大運動や販売促進活動を展開するなど、県民が本県の農林水産業を応援する気運を高める活動を展開する。
また、マーケットインの視点に基づく生産・販売を促進するとともに、様々なチャネルからプロモーションを展開し、国内市場のみならず海外も視野に入れ、県産農林水産物の販売力強化を図る。

〔方向性〕
  • 農業法人やJAの販路拡大に向けた主体的な取組の促進
  • 県民による応援気運の醸成(地産地消の推進等)
  • 学校給食を活用した食育推進等
  • 品目や販売ターゲットを明確にしたマッチング活動の強化
    • 実需者と産地が連携した商品づくりの推進
  • 首都圏における多彩で効果的なプロモーション活動の強化
  • 秋田の強みを生かした農林水産物の輸出拡大
  • 食の安全・安心に向けた対策の推進(GAPの取得など)
  • 観光と連携したインバウンド需要の取り込み(ハラル認証の取得など)
  • 県産材のプロモーション活動の実施
  • 県産水産物のブランド化の推進
  • 効率的な物流環境の整備
〔主要事業〕
【国事業】
  • 農畜産物輸出拡大施設整備事業
    農畜産物の輸出の拡大に必要な共同利用施設や卸売市場施設の整備を支援
  • 輸出促進緊急対策
    • 精米・燻蒸等の実証、モモ肉・バラ肉等の輸出体制の整備、牛乳乳製品の冷凍
    • 輸送技術、果実の低温貯蔵・輸送技術、新たな木材製品仕様の作成等を支援
  • 農山漁村おみやげ農畜産物販売促進事業
    広域観光周遊ルートに位置付けられた農山漁村地域における訪日外国人旅行客の受入体制の整備を支援
  • 水産物輸出拡大緊急対策事業
    今後、輸出拡大が見込まれる大規模な拠点漁港における荷さばき所、冷凍冷蔵施設、集荷施設等の一体的な整備、輸出先国のHACCP基準を満たすための水産加工・流通施設の改修、関係機器の整備等を支援
  • 日本発食品安全管理規格策定推進緊急調査事業
    日本発の食品安全管理規格等の策定の基礎となる調査を支援
  • 外食産業等と連携した需要拡大対策事業
    産地と複数年契約をする外食・中食・加工業者による国産農林水産物を活用した新商品の開発やそれに必要な技術開発等を支援
【県事業】
  • ILove秋田産推進事業
    県産農産物等を応援する県民意識の醸成と応援気運を盛り上げるためのプロモーション活動を展開
  • おいしい秋田の食材を学校給食へ」促進事業
    生産側と学校給食側が連携し、生産から配送までの仕組みづくりや、給食現場のニーズに基づく給食向けの加工品開発を支援
  • 県産農産物流通販売戦略推進事業
    マーケットインの視点を重視し、県産農産物の生産から流通・販売まで一体的に取り組む「農産物流通販売戦略」を推進
  • YouLove秋田産推進事業
    • 国内外における県産農産物の販売力を強化するため、秋田の強みを生かしたプロモーションを展開
    • 県産農産物の輸出促進(米、青果物、畜産物)
  • 農業者等販売力強化チャレンジ事業【再掲】
  • JA販売力強化オリジナルプラン支援事業【再掲】
  • 秋田発ジャパン・ブランド育成支援事業
    全国で通用するブランド品づくりに向けた農業団体や流通業者等の取組を支援
  • ゴハンといえば秋田米推進事業【再掲】
  • 「秋田スギがスキ!」ウッドファーストあきた加速化事業
    • 海外の展示会等で、製材品や家具等の秋田スギブランドの売り込みを展開
    • 高機能な住宅の構造材に一定以上の県産スギ材を用いる住宅商品の開発を支援

(5) 地域を活かす中山間地対策

生産条件の厳しい中山間地域においても、一定の所得が確保できるよう、園芸作物の本作化に向けた水田畑地化や伝統野菜等による高付加価値農業を進めるとともに、条件不利地域の農業を支える経営体の育成を進める。

〔方向性〕
  • 地域資源を活用したアグリビジネスの展開
  • 条件不利地域の農業を支え発展する経営体の育成
〔主要事業〕
【国事業】
  • 中山間地域等担い手収益力向上支援事業
    中山間地域等における担い手の収益力向上を支援
【県事業】
  • 元気な中山間農業応援事業
    条件が不利な中山間地域においても、一定の農業所得を確保できるよう、地域資源を活用した特色ある農業や食ビジネスの展開を一体となって支援
  • 農業法人経営発展支援事業
    農業法人の複合化・多角化への取組を進め、経営の安定確立を支援
  • 日本型直接支払交付金事業【再掲】
  • 中山間ふるさと秋田づくり総合支援事業【再掲】

Ⅱ経営安定対策等

1 国の対策

(1)米

国別枠の設定による輸入量の増加が、国産主食用米の需給及び価格に与える影響を遮断するため、政府備蓄米の運営を見直し(原則5年の保管期間を3年程度に短縮)、国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れる。

  • 政府備蓄米の運営の見直し(原則5年の保管期間を3年程度に短縮)と、国別枠の輸入量に相当する国産米の政府買入

2 県の対策

農業・農村のもつ多面的機能や地域コミュニティを維持するため、条件不利地域での営農や地域活動を支援するとともに、農業者が安心して営農に取り組めるよう、各種制度資金を活用した経営のフォローアップを行うほか、災害時においては迅速に対策を検討する。

〔方向性〕
  • 多面的機能、地域コミュニティの維持・強化
  • 各種制度資金を活用した経営のフォローアップ
  • 災害復旧などに対応するセーフティネットの整備
  • 青果物・花きの価格補償制度
【県事業】
  • 日本型直接支払交付金事業
    農業農村の多面的機能を維持・発揮するため、地域活動や営農継続等に対し支援
  • 中山間ふるさと秋田づくり総合支援事業
    地域資源を活用し、交流の活性化を図るとともに新たなビジネスモデルの創出を図り、地域づくりを総合的に支援
  • 青果物・花き価格安定対策事業
    青果物・花き価格の低落時に生産者へ補給金を交付
〔各種制度資金〕
  • 農業近代化資金等対策事業
    農業・漁業経営フォローアップ資金預託金貸付事業

6.食料自給率の定義

以下に食料自給率について説明しておきます。
なお、食料安全保障を考える上では食料自給力が実際にはより重要である、という意見もあります。

出典:http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/011.html

食料自給率とは、国内の食料消費が、国産でどの程度賄えているかを示す指標です。 その示し方については、単純に重量で計算することができる品目別自給率と、食料全体について共通の「ものさし」で単位を揃えることにより計算する総合食料自給率の2種類があります。このうち、総合食料自給率は、熱量で換算するカロリーベースと金額で換算する生産額ベースがあり、2つの指標とも長期的に低下傾向で推移しています。

1.品目別自給率

以下算定式により、各品目における自給率を重量ベースで算出。

品目別自給率=国内生産量/国内消費仕向量
(=国内生産量+輸入量-輸出量-在庫の増加量(又は+在庫の減少量))
例)小麦の品目別自給率(平成27年度) =小麦の国内生産量(100.4万トン)/小麦の国内消費仕向量(658.1万トン)=15%

2.総合食料自給率

食料全体における自給率を示す指標として、供給熱量(カロリー)ベース、生産額ベースの2とおりの方法で算出。畜産物については、国産であっても輸入した飼料を使って生産された分は、国産には算入していない。

1.カロリーベース総合食料自給率
「日本食品標準成分表2015」に基づき、重量を供給熱量に換算したうえで、各品目を足し上げて算出。 これは、1人・1日当たり国産供給熱量を1人・1日当たり供給熱量で除したものに相当。
例)カロリーベース総合食料自給率(平成27年度)=1人1日当たり国産供給熱量(954kcal)/1人1日当たり供給熱量(2,417kcal)=39%

2.生産額ベース総合食料自給率
「農業物価統計」の農家庭先価格等に基づき、重量を金額に換算したうえで、各品目を足し上げて算出。 これは、食料の国内生産額を食料の国内消費仕向額で除したものに相当。
例)生産額ベース総合食料自給率(平成27年度)=食料の国内生産額(10.5兆円)/食料の国内消費仕向額(16.0兆円)=66%

7.「地方創生は農業再生から~大潟村からの発信~」

出典:「地方創生は農業再生から~大潟村からの発信~」
平成27 年7 月6 日
地方創生と農業再生を考える会事務局
㈱大潟村あきたこまち生産者協会
代表取締役社長涌井徹
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/nousui/kyouka_wg/dai2/siryou2.pdf

本提案は衆議院調査局農林水産調査室の求めに応じ、「農協・農業委員会等の改革」についての学識経験者等の見解、としてなされたものである。

国民食料の安定供給のために、また国民のために農業再生はどうあるべきか、という基本的視点で提案がなされており、この提案の主な特徴は、(1)農家から集めた、農家のための農協銀行というべき農林中央金庫のお金の使い方の改革、(2)平野部と山間部の政策視点が異なることで、平野部については大規模化農業を目指し、農業という産業を経済原理にまかせて振興を図る、山間部については、環境や国土保全の観点で政策を展開するというもの。全体的にわかりやすく具体的な提案となっている。


内容


以下、主要部抜粋し紹介する。

Ⅰ農林中央金庫の改革と海外投資資金の農業投資について

農家から集めた預金を日本農業の振興に使わず、リスクの高い海外投資で多額の損失を出しながらも、その損失を各単協に負担させる行為は、農林中央金庫設立の理念から外れる行為であり、単なる投機目的の営利団体と思われても仕方ありません。ここに、農林中央金庫の改革を必要とする最大の理由があります。

そこで、農林中央金庫の改革案として、次の提案をさせて頂きます。

  1. 農林中央金庫の海外投資を全面的に禁止し、その資金を日本農業の再生に投資するよう行政指導を行う。
  2. 海外投資に向けた資金を国の農地中間管理機構に融資し、離農者の農地購入と借入農地の集積と基盤整備・配分のための資金として運用する。
  3. 農地中間管理機構が購入し、借り入れた農地を、集積・整備し、新しく農業に取り組む希望者に、TPP時代に対応できる地代で売却または貸し出しをする。
  4. 畑作地においても、同様の考え方とする。
  5. 農産加工で地方に進出する企業には低金利で進出資金の融資を行い、企業進出を支援することにより、雇用の拡大に取り組む。
  6. 農産物の輸出に向け、輸出対象国に農産物輸出専門の海外支部を設置し、海外市場の調査や商談支援のため、ジェトロと連携した輸出支援に取り組む。
  7. 農業の六次産業化を進めるため、農産物の加工開発のための研究機関の設置に取り組む。
  8. TPP 時代に向け、生産コスト削減のため、農家に農業機械を購入させないよう、農業機械化銀行の創設に取り組む。

以上のように、農林中央金庫の海外投資資金を、国民食料の安定供給のため、日本農業生産に向けて投資をすることは、農業者はもとより、国民の支持が得られる改革になると思われます。

Ⅱ日本農業再生に向けて

(1)「農地中間管理機構の役割について」

日本農業者の平均年齢は66 歳になっており、多くは後継者がおらず、離農のため農地の売却を希望しても、農地の購入者がいないので、農地を耕作放棄地にせざるを得なくなっております。

農地中間管理機構の報告では、農地の借り手はいるが、貸し手が少ないと言われておりますが、農家は農地を売りたいのであり、貸したいのではありません。また、新しく農業経営に取り組む人は、農地も、トラクターや田植え機、コンバインと同じように、農産物を栽培するための道具として考えている。

農地中間管理機構に農林中央金庫の海外投資資金を投入し、全国の離農希望者の農地を買い上げ、集積と基盤整備を行い、農地の保有経費をプラスして売却し、貸し出すシステムの構築をし、農業生産を維持できるようにすること。

(2)「平野部と山間部農業の振興と、6次産業化について」

山間部の農業政策と平野部の農業政策を、分離して考えることができれば、日本の農業政策も新たなる一歩を踏み出すことができるのではないか。

山間部は産業としての農業というよりは、生活の場として、またコミュニケーションの場としての農業の構築が必要です。そのため、産業としての農業政策ではなく、環境政策であり、福祉政策であり、社会保障政策としての農業政策を構築すべきではないでしょうか。

反対に、平野部の農業は、TPP 時代に対応した国際競争力のある農業を創造するべきであり、そのためには、国が進めている農地中間管理機構の活用が重要です。

農地中間管理機構が、離農者の農地を購入、保有、集積・整備し、50ha、100ha 単位で配分することができれば、農業も魅力ある産業として取り組む若者がたくさん出てきます。農業に取り組むには、農地の他にも農業機械や作業場も必要になりますが、どんなに面積が多くなっても、高価な農業機械をそれぞれの農業法人が所有するようでは、コスト増は避けられません。そこで、農業機械を一年中使用できるよう、農作業を専門に請け負う全国組織の農業受託会社を設立し、北海道から九州まで、同じ農業機械を使えるようにすることが必要です。

当初は、50ha、100ha の法人も生産コスト削減のため、将来的には、200ha、500ha、1,000ha、10,000ha に合併し、より一層のコスト削減に取り組む必要があります。日本農業の課題は、TPP 時代に対応できる農業の構築であり、国際競争力のない農業の構築ではありません。日本農業の課題は、資材や農業機械のコスト削減や、農地の集積によるコスト削減だけでなく、農産物の付加価値を上げるための、農業の六次産業化が必要です。残念ながら、競争力のある六次産業化を進めるための研究機関が少なく、現状は農家個々が細々と商品開発に取り組んでおります。

農業の六次産業化を進めるためには、公的研究機関の支援と、失敗しても再度、挑戦できる支援が必要です。日本農業が歴史上、初めての、産業としての農業の確立に挑戦しようとする試みが始まったのではないでしょうか。

日本農業を家業としての農業から、産業としての農業に構造改革すること。

(3)「国際基準の農産物価格は、生産コストも国際基準に」

農産物の生産コストには、「農業機械、肥料代、農薬代、雇用費、諸材料費、土地改良費、手数料、地代」等がありますが、農家が自分で決められるものはほとんどなく、多くは農協と農業関連メーカーの間で決められております。

TPP 時代を迎え、日本農業が国際化時代に対応するためには、生産コストを国際基準にすることで、農産物価格も国際基準になります。そのためには、農協だけでなく、農業関連メーカーの協力が必要です。

生産コストの上位を占める、農業機械、肥料、農薬等の価格を、一日も早く国際基準にしないと、日本農業はTPP 時代を待たずして崩壊します。

日本の農機具メーカーは、外国では日本の1/3 の価格で農業機械を製造、販売しており、肥料や農薬等も同じ状況になっております。一方、国内においては農業機械や肥料、農薬だけでなく、物流コストについても、全農価格が基準です。日本の農産物が、生産コストの削減により、国際価格に対応できるまで、全農のさらなる改革に向けた国の行政指導が必要です。

(4)「TPP は関税化で日本農業の国際化を」

農業は国民のものだとの考えになれば、TPP は国民の生活が豊かになるか否かが選択肢になります。どんな産業でも、お客様のことを考えない産業の未来は、崩壊の道しかないのが現実です。

TPP の関税化を阻止しても、農業の改革が遅れれば、日本農業は崩壊することになり、関税化阻止は百害あって一利なしということになります。TPP 参加について、関税化を受け入れて、関税廃止まで最大10 年間の余裕を活用して、日本農業の改革に取り組むことが、日本農業の発展と国民食料の安定供給に貢献できるのではないでしょうか。

日本農業は、肥料、農薬、農業機械、地代、手数料等の多くの生産コストは、農協とメーカーの間で決められ、農家が決められるものは何もありません。また、農地も小面積で分散所有され、生産コストが削減できる環境になっていません。

TPP 参加で関税化を阻止したことで、日本農業の改革が遅れることより、関税化を受け入れて、国際競争に対応できるように、農業改革に取り組むことを優先すべきではなかったのではないでしょうか。

日本農業は、農家のものでなく、国民のものであるとの共通認識を、農家を含む全国民が持つことで、日本農業は、どんな時代が来ても国民食料の安定供給のために、必要な産業になるのではないでしょうか。

(5)「輸出の取り組みについて」

現在の農産物の生産コストは国内基準になっており、結果として農産物価格も国内基準の価格になっておりますが、輸出を促進するためには、農産物の生産コストを国際基準にし、農産物価格も国際基準にする必要があります。

日本農業において、国内の消費量以上に生産できる唯一の農産物は米であり、米の輸出は、最優先で取り組む必要がありますが、農業者一人ひとりが米を輸出するには限界があります。

また、輸出を考える農業者が世界中に日本の農産物を輸出するために、ジェトロと連携した輸出専門の現地法人を設立する等、農林中央金庫の資金を使った新しい輸出支援システムの構築が必要になります。

農産物を輸出するためには、素材としての農産物だけでなく、付加借価値を上げるため、様々な加工食品の開発が必要です。そのための加工施設は、単なる六次産業化の加工施設というより、国際競争力に対応できる品質とコストが必要になります。特に、米を加工したパックごはんや米菓等の米の加工品は、重要な輸出商品になるのではないでしょうか。     さらに、日本の農産物の輸出のために、農業者個々のブランドではなく、ジャパンブランドの確立が欠かせません。

(6)「農協の役割について」

農協は、戦前・戦後を通じて家業としての日本農業を支えてきましたが、日本農業が構造改革を迎えた現在、農協自身が構造改革を迫られております。本提案では、日本農業再生に向けた、新たなる農協の役割について述べさせて頂きます。

  1. 農林中央金庫のリスクの高い海外投資を止めて、最も安全な農地中間管理機構の農地購入資金として貸し出しをすることで、多額な貸し出し先を確保することができ、また、農地を売却した農家の売却代金が農協預金に入るので、農協の新たなる事業展開に取り組む。
  2. TPP 時代に向けて農産物の生産コストを下げるため、農業機械、肥料、農薬等の生産コストが国際基準になるよう、農業関連メーカーと協力して販売価格を下げるために取り組む。
  3. 農業機械のコストを削減するため、農協が農業機械を保有し、全国の農協と連携して、同じ農業機械を北海道から九州まで使える農業機械銀行の創設に取り組む。
  4. 農家個々では負担の多い輸出事業に農協が取り組む等、TPP 時代に向けた大きな事業の構築に取り組む。
  5. 限界集落と言われ、農業に取り組む人がいない場所では、農協が組織として農業の継続に取り組む。
  6. 全国の農業法人が取り組む農業の六次産業化事業支援や、農協自らが輸出対応可能な農産加工に取り組み、農村地帯に雇用の場の確保に取り組む。

今後も離農者が激増する中、農協が生き残るためには、日本農業の再生にどのように貢献できるかであり、今までリスクを避けるために取り組まなかった事業に、積極的に取り組むことで、農協は日本農業にとって必要な存在に成り得ます。
農協の組合員である農家の多くは、離農後の生活に不安を感じております。農協の役割は組合員の生活の不安を取り除くことであり、そのために農協は何ができるかです。今こそ日本のJA グループは、農協創立の理念に立ち返る時が来たのではないでしょうか。

(7)「農業特区構想について」

農地中間管理機構が、離農者の農地を購入、保有、集積・整備、配分するためのモデル地区を創設する必要があり、そのために新たなる農業特区の創設が必要になります。現在も農業特区が活用されておりますが、本提案における農業特区につきましては、今までの農業特区の概念にこだわらない構想が必要になります。

人は、どんな改革でも、未来に対し、不安を持ちます。その不安を払拭するためには、モデルが必要であり、そのモデルとしての農業特区を創ることができれば、日本農業再生は大きく前進するのではないでしょうか。

現在の農地中間管理機構の業務は、農地の購入は想定しておらず、各県の農業公社が農地保有合理化事業として農地を購入、保有し、規模拡大志望の農家に売却、または貸与する事業を行っております。しかしながら、そのための事業費は少額で、事業規模は小面積に留まっております。日本農業を再生するには、あらゆる規制概念を払拭し、農業を取り巻く制度を大幅に変える必要があります。

そのため、農業特区事業については、農地中間管理機構と農業公社を合併させて、農地の購入、保有、集積・整備、配分ができる制度改革に取り組む必要があります。

国民食料の安定供給のために必要な農地と、資産価値を求める農地の区分けをする必要があり、国民食料の安定供給に寄与する農地に対しては、様々な農業政策を投入し、資産価値を求める農地に対しては、全ての農業政策の対象から外す必要があります。

本提案の農業特区構想は、数千ha のモデル地域を設定し、その中で、農地の売却希望者の農地をすべて購入、保有、集積・整備、配分を実施します。法人形態は、数十ha~数百ha まで、様々なモデルを創ります。

その上で、TPP 時代に向けた農業経営の確立に取り組み、生産コストを下げるため、農業機械の共同利用をはじめとし、主食用米の栽培だけでなく、加工用米、新規需要米等の作付けに取り組み、生産コストの削減と六次産業化による農産加工にも取り組む必要があります。更に、輸出事業にも取り組む等、日本農業の再生に向けた、あらゆる事業に取り組む農業特区の創設が必要です。

日本農業再生のための農業特区構想は、全国の農業関係者や自治体の皆様に、農業再生と地方創生の取り組みを理解して頂くためにも、必要な事業と考えております。

Ⅲ農業再生と地方創生

地方創生のためには農業再生だけとは考えておりませんが、本提案では、農業の現場から見た地方創生について提案をさせて頂いております。

農村の若者が農業に見切りをつけ、都市部に出て地方に戻らないことは、農村の人口減に留まらず、地方経済の衰退にも直結しております。地方創生のためには、農村に魅力ある雇用の場を確保することが必要不可欠であり、そのためにも日本農業の再生が必要になります。

先に述べましたように、農業者の多くは農業をやめる準備に入っており、農地の売却先を探しておりますが、農地価格が下がることが見込まれる中、これから農業に取り組もうという方で、農地を購入する人はおりません。

TPP 時代の日本農業は、農地の購入により経営面積を増やすのではなく、農地の借り入れによって経営面積を増やします。それが、新しい時代の新しい農業システムです。

日本農業再生のためには、農林中央金庫が農家から集めた預金を、日本農業再生に投資することが、地方創生の最優先課題と考えております。

離農者が希望する全農地を購入しても、農林中央金庫が集めた資金量から見ても十分対応できる金額であり、その資金で農地を購入し、保有、集積・整備、配分することで、産業としての農業が生まれ、輸出も視野に入れた農業に成長することができます。また、農地を売却した農家にも退職金としての代金が入るため、農村地帯に大きな経済の動きが始まるのではないでしょうか。

日本農業再生には、家業としての農業から、産業としての農業に進化することにより、生産コストを削減し、雇用の場を拡大し、新しい市場を開拓することができ、結果として、地方再生に繋がるのではないでしょうか。また、日本農業再生のためには、農地の集積による生産コストの削減と併せて、雇用確保のための農業の六次産業化を推進する必要があります。農業の六次産業化を進めるにあたっては、農業者だけがリスクを負担するのではなく、農協が資金面や経営面、また、販売面に向けて、全面的に協力することが必要です。

TPP 時代に向け、アメリカ等の大規模農業や新興国の低賃金を背景にした低コスト農業と競争するには、付加価値の高い加工食品の開発も必要です。日本の食品加工技術は、世界の中でも優秀な加工技術であり、十分に国際競争力を有しております。

日本の人口減少が始まっている中、地方の人口は今以上に減少速度が早まります。地方創生は、単に人口の増減によって論ずるのではなく、そこに生活する住民が幸福で豊かな生活をするための、しっかりとした経済基盤と福祉基盤があることではないでしょうか。

農地で作業する人が少なくなっても、収穫された農産物を加工し、販売する会社を起業することで、多くの若者の働く場ができます。これからの農村は、生産だけの農業から、加工と販売を取り入れた六次産業化を推進していくことで、新しい農村が生まれます。離農した農家の人達が幸福な生活を送る生活基盤を構築することができれば、そのことが地方創生に連動するのではないでしょうか。

まとめ

本提案における農林中央金庫の海外投資を全面的に禁止し、海外投資に向けた資金を農地中間管理機構に投入し、農地の購入事業に取り組むことは、国民食料の安定供給のため、日本農業を再生させるためには、農家の預金である農林中央金庫の資金が必要不可欠であると考え、本提案をさせて頂きました。

地震等の自然災害に強い国を造るために「国土強靭化法」を制定したように、国民食料の安定供給のために、今までの農業改革とは次元の違う、「日本農業強靭化法」のような法律制定が必要なのではないでしょうか。

今までの農業者には、農地は大事な財産でしたが、これから農業に参入する新しい農業者にとって、農地はトラクターやコンバインと同じで、農作物を育てる道具として考えており、農地を財産として保有したいと考えている人はおりません。

本提案において、農林中央金庫の海外投資資金を日本農業再生に投入するよう、繰り返して主張しているのは、日本農業再生は、個々の農家の努力では不可能であると考えているからです。農林中央金庫が、今後も農家の預金をリスクの高い海外投資を継続するのか、それとも、日本農業の再生に向けて投入するのかに、日本農業の再生の是非がかかっており、農業再生に向けて、次のような投資案件が考えられます。

離農者の農地購入の金融支援、農地の基盤整備の金融支援、農村へ進出する企業向けの金融支援、農業法人向けの金融支援、輸出事業向けの金融支援、農業の六次産業化を進めるための金融支援、農業機械化銀行創設の金融支援、種子開発や食品加工開発等、様々な開発事業のための金融支援等、今まで農協が取り組んでこなかった農業関連事業に積極的に金融支援を行うことで、日本農業の再生が可能になると考えております。

日本農業を再生し、地方を創生することは、明治維新のように、国のあり方を変える大きな改革が必要であると考えております。そのためには、強力な政治力と、巨額な資金が必要になると思われます。

「若者が夢と希望が持てる農業の創造」が地方創生に繋がるとの思いで、本提案をさせて頂きました。